今、アジアのMBAが注目されていることをご存じでしょうか。特に、シンガポールのMBAは高い関心を集めています。

シンガポールは欧米に比べると地理的に日本に近いこともあり、MBA留学の候補に入れている人もいるかもしれません。

本記事では、シンガポールでMBAを取得するメリットや留意点について解説します。

目次
シンガポールでMBAを取得する6つのメリット
シンガポールでMBAプログラムを提供するスクール
シンガポールでMBA取得を検討する際の留意点
シンガポールでMBAを取得するなら、学びたいことを明確にしよう

海外でMBAを取得する際、欧米での取得を検討している人も多いでしょう。しかし、近年アジアのMBAプログラムが高い注目を集めています。

アジア経済は今後も成長が見込まれており、それが注目を集める要因の1つとなっています。

加えて、地理的な利点も見逃せません。日本に近いことに加え、国内の治安が良く安心して生活できる点も、シンガポールを選択する理由の1つとなるでしょう。

ここでは、シンガポールでMBAを取得する下記の6つのメリットを紹介します。

• アジアでの就職・人脈形成
• プログラムの柔軟性
• ダブルディグリー制度
• 多様な言語
• クラス編成・規模
• 費用

シンガポールはその立地条件から、アジア太平洋地域の貿易において重要なハブとして機能しています 。先進的な制度や充実したインフラがあるため、多くの多国籍企業が進出し、活動基盤を築いています。

シンガポールの多くのビジネススクールでは、アジア市場に関する深い知識を得ることが可能です。学生の多様性も豊かで、アジア各国を中心に留学生が集まるため、アジアを中心としたネットワークを構築する機会が得られます。

MBA取得後アジアでのビジネスを展開したいと考えている人にとって、シンガポールのビジネススクールに行くことは大きなメリットといえます。

シンガポールのビジネススクールは、プログラム期間がフレキシブルなものが多いのも特徴です。

例えば、National University of Singaporeが提供するMBAでは、基本的に17カ月のプログラムを設定しています。なお、このプログラムの期間は学生のニーズに応じて、1年への短縮や2年への延長が可能です。

欧米の多くのビジネススクールでは、自由にプログラム期間を設定することは困難です。

自分のライフスタイルやキャリアの目標に合わせて、柔軟にプログラムを選択できる点は、シンガポールでMBA取得を目指す大きなメリットといえるでしょう。

参照：National University of Singapore「Pragramme Overview」

シンガポールの一部のビジネススクールでは、ダブルディグリー制度が導入されています。この制度を利用すると、2つの異なる学位を同時に取得することが可能です。

ダブルディグリー制度には主に下記2つのパターンがあります。

• 2つの異なるビジネススクールで2種類のMBA学位を取得
• MBAと別の専門領域（例：工学や法学など）の学位を取得

制度を活用すると、別々に学位を取得する場合と比べ、より短い期間で2つの学位を取得できる点がメリットです。

2つの異なるスクールや専門分野で学ぶことで、幅広い人脈を構築する機会も得られるでしょう。

シンガポールは多民族国家で、4種類の公用語があります。

• 英語
• 中国語
• マレー語
• タミル語

講義は主に英語で行われますが、雑談や日常生活においては、中国語やマレー語、タミル語などに触れる機会もあるでしょう。

また、アジア各国を中心に世界中の留学生が集まるため、英語以外の多種多様な言語に触れる機会が増えます。

異なる文化的背景を持つ多くの人と交流することで、国際的なコミュニケーション能力の向上が期待できるでしょう。複数の言語と触れることで、文化や価値観への理解も深まります。

多様な言語環境に身を置くことは、国際的な感覚を養い、グローバルなコミュニケーション力を高める絶好の機会となるかもしれません。

アメリカのビジネススクールはクラスの規模が大きく、学生数も多い傾向があります。そのため、多くの場合、個別指導の機会は減少しますが、多様な背景を持つ学生との交流が進み、広い視野を育むことが可能です。

一方で、シンガポールのビジネススクールでは、クラスの規模を比較的小さくした講義を行っています。より個別化された学習体験を受けることができるでしょう。

小規模なクラスでは、教授と学生との間に密接な関係を築きやすくなり、学生同士の交流も深まります。

個々の学習ニーズに応じたサポートや密接なコミュニケーションを重視する学生にとっては、シンガポールのビジネススクールのほうが適しているかもしれません。

学費については、一般的な欧米のビジネススクールと比べると、シンガポールのほうが安価な傾向があります。 ただし、ビジネススクールによって大きく違うため、必ず大学ごとの情報を確認しましょう。

生活費に関しても大きな違いがあります。

ライフスタイルや居住する地域によって異なるため一概には言えませんが、一例として、シンガポールで1年半生活すると、日本で生活するよりもおよそ1.5～2倍の生活費がかかると考えられるでしょう。

とはいえ、学費を含めた生活面でも、アメリカや欧州と比較すると安く済むといわれています。

プログラムに柔軟性があるため、できるだけ短く終わらせることで生活費を浮かせることもできるでしょう。

日本との距離が近いため、移動費用が比較的安く済むのはメリットといえるでしょう。

ここでは、シンガポールで知名度の高いビジネススクール、世界的に評価されているスクールを4つ紹介します。

学校名	学費	特徴
INSEAD（Singapore）	99,500 ユーロ	・欧州・中東・アジア（シンガポール）にキャンパスがある国際的なプログラム
National University of Singapore（NUS）Business School	94,830シンガポールドル	・ダブルディグリー制度を実施しているため、MBAだけでなく他の専門分野を同時に学ぶことが可能
Nanyang Technological University （NTU） - Nanyang Business School	81,750シンガポールドル	・技術とイノベーションに強い研究志向の大学院 ・技術変革をビジネスに応用できるビジネスリーダーの育成に取り組む
Singapore Management University （SMU）- Lee Kong Chian School of Business	76,300シンガポールドル	・多数の企業と連携しており、様々なインターンシップを通じて実際のビジネス環境での経験を積むことができる

※アビタス調べ。2024年3月時点

シンガポールには、世界的に高い評価を受けるビジネススクールが複数存在します。

INSEAD Singapore、NUS Business School、Nanyang Business School、Lee Kong Chian School of Businessがその代表格です。

これらの大学では、国際色豊かな環境のもと、実践的な学習機会が提供されています。

MBAだけでなく、他の専門分野も同時に学べるダブルディグリー制度や、インターンシップ、ケーススタディなどを通じて、理論と実践を融合した教育が行われています。

参照：TOP UNIVERSITIES「QS Global MBA Rankings 2024」
参照：INSEAD「Financing, Scholarship, and Related Fees - MBA |
参照：The NUS MBA
参照：Nanyang Business School | NTU Singapore「Graduate Studies」
参照：SMU PG Admissions「Master of Business Administration (MBA)」

上記のように、地理的な利点、費用面、アジア市場への理解が深まるカリキュラムなど、シンガポールのビジネススクールには多くのメリットがあります。

特にアジア圏でのビジネスキャリアを目指している人にとっては魅力的でしょう。

一方で、シンガポールでMBAの取得を検討する際に留意しておきたい下記のポイントについても確認しておきましょう。

• 世界規模で見た時のブランド力
• ダイバーシティ
• 言語

シンガポールのビジネススクールは、世界の大学ランキングの上位常連校も多く見られます。

「QS Global MBA Rankings 2024」による、各学校の順位を見ていきましょう。

• NUS Business School：24位
• Nanyang Business School：34位
• Lee Kong Chian School of Business：43位

これらのランキングは、シンガポールのビジネススクールが国際的に認知されていることを示しています。

アジアは今後も経済的に成長すると予想されています。アジア市場に対する深い理解を持つことは、世界の多くの企業にとって非常に価値の高いものになるでしょう。

ただし、欧米の有名なビジネススクールと比較すると、ブランド力において後れを取っている感は否めません。

MBA取得後のキャリアパスを踏まえて、どの国のMBAを取得するかは慎重に検討しましょう。

参照：TOP UNIVERSITIES「QS Global MBA Rankings 2024」

海外でのMBA取得を検討するのに、グローバルネットワークの構築を重要な目標の1つに掲げている人も多いでしょう。

シンガポールのビジネススクールには、主にアジア圏からの学生が多く集まる傾向があります。

世界各国の人が集まる欧米のビジネススクールと比較した場合、地域的な偏りを感じることがあるでしょう。

地域的な偏りは、主にアジア圏の人と交流を深めたい人にとってはメリットになる一方、世界中に人脈を広げたいと考えている人にとっては留意点となるでしょう。

シンガポールのビジネススクールの講義では主に英語が使われます。公用語の1つとして英語があり、ビジネスや教育の場において広く使われています。

しかし、アメリカ英語やイギリス英語を中心に英語を学んできた場合、シンガポールや他のアジア圏出身者が話す英語の発音やイントネーションに戸惑うケースもあるでしょう。

グローバルコミュニケーションを図るためには、多様な英語の発音や表現に触れることは重要です。相手の話す英語に慣れ、確認を取りながら相互理解を深めていくことが求められます。

シンガポールでMBAを取得する場合、費用面や移動距離の短さ、ダブルディグリー制度の採用など、多くのメリットがあります。

アジア市場についての知識を深められるため、特に、今後アジア圏でのビジネスキャリアを目指している人にとっては魅力的といえるでしょう。

ただし、欧米の有名なビジネススクールと比較すると、知名度で後れを取っている感は否めません。国際的なキャリアを目指す場合は考慮すべき点といえます。

学びたい内容やMBA取得後のキャリアプランを明確にし、費用対効果を考えた最適なビジネススクールを選択しましょう。

MBAの取得を検討する際に「留学費用をできるだけ抑えたい」と考えている人もいるでしょう。

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